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特別レポート

Global Challenge Program in NY

2014年3月25日から7日間、全国の中学3年生から生徒17名が、世界経済の中心地であるニューヨーク・マンハッタンにて、海外インターンシップを行いました。日系の出版社にて新聞記者となり、有名な日系・外資系企業を取材し、新聞記事を作成。実際に現地の新聞に掲載されるというプログラムです。

グローバル人材育成へ向けた3つの方向性

 現在の中高生が大人になり、社会を支えていく立場になるのは今から約15年後、つまり2030年前後です。その時の社会を予測することは難しいですが、少なくとも日本国内のマーケットは縮小し、海外に目を向けて仕事することが必要になると考えられます。
そのような背景から『Global Challenge Program in NY』では、プログラムとして3つの方向性を設定し、実施をしました。

(1)グローバル社会で活躍するイメージを掴む

「グローバル人材になれ」と言われても、中高生には「グローバル人材とは何か」も「なぜそうなる必要があるのか」も分かりません。実際にグローバル企業で活躍している人と交流することで、グローバル社会で活躍するイメージを持ち、「彼らのようになりたい」という内発的動機付けによってグローバル人材を目指してもらいたいと考えました。

(2)グローバル社会で活躍するために必要な力・スキルを理解し、身につける

グローバル社会で活躍する人のイメージを持つことに加え、どのような力やスキル、マインドが必要なのかを理解することも重要です。それらの力を今後の高校生活で身につけてもらいたい、また本プログラムを通じて一部でも体得してもらいたいと考えました。グローバル社会で活躍するために必要な力を設定し、それらを身につけられるようなプログラムとしました。

(3)高校生として「自立」する  

プログラム終了後には生徒たちは高校生となるため、「自分たちで考え、自分たちで行動する」ことを身に付けてほしいと考えました。プログラム後の生活においても、特に自分の将来について自分で考え行動する姿勢を持ってもらいたいと考えました。

取材から原稿、新聞発行まで リアルな新聞記者を体験するインターンシップ

 実際にまだ社会に出ていない中学3年生にとっては、「働くこと」のイメージを持つことさえ難しいため、インターンシップ形式で新聞記者を体験します。新聞記者になることで、グローバルに活躍している人に会って話を聞くだけでなく、自分たちなりに咀嚼して紙面にまとめること、そしてそれが実際の現地の新聞として発行されるという経験をすることができます。

●正解がない問いを考える「事前学習」  

現地での滞在期間は限られているため、数回にわたり国内での「事前学習」があります。グループごとに、訪問企業の調査や紙面コンセプトの検討、質問項目の作成、フリー取材(生徒自身が興味のあるところへの取材)の検討などを行います。コンセプトの検討では、「自分たちなりの正解」を作らなければならないため時間がかかりますが、「読者のニーズ」と「自分たちの興味・関心」をもとにKJ法などを用いて作り上げていきます。

●有名なグローバル企業やコロンビア大学を取材し、紙面を作成した「インターンシップ」

インターンシップは5泊7日間。コロンビア大学やトヨタ自動車、住友商事、野村證券などの日系有名企業や、IBM、Morgan Stanley、Bloombergといった外資系有名企業に訪問・取材します。日本語だけでなく、英語での取材も必要になります。国際連合の見学ツアーへの参加・取材や、アメリカでコンサルタントとして活躍されている方から英語で講義を受けたりもしました。また「フリー取材」では、日本人ダンサーの方にアポイントをとって取材したグループもあれば、100人以上に街頭インタビューを行ったグループもありました。  これらの取材をもとに、生徒は紙面を作成します。寝る間も惜しんで作業に没頭し、最終日には、取材先の企業・大学の方やインターンシップの受け入れ企業の方に向けて、プレゼンテーションを実施します。相当な緊張感の中で行われるため、発表後は安堵と達成感溢れる表情が見られました。

●プログラムでの学びを伝える「事後学習」  

帰国して1か月後には、プログラムの最後として「事後学習」を実施します。生徒や保護者、学校の先生などを招待し、英語と日本語を交えたプレゼンテーションを行い、プログラムが終了します。終了後には、生徒たちは今後の交流を約束するなど、将来「グローバル社会で活躍したい」と思う生徒同士の貴重なつながりも作ることができたようです。

グローバル人材への第一歩

 参加した生徒からは「海外留学や海外での就職について曖昧だったイメージが具体的になった」「グローバルに働くことがとても身近に感じられた」などの感想があり、グローバルに活躍するイメージが少しは持てたようです。加えて、イメージが明確になったことで「現状の自分」とのギャップを強く感じた生徒もいます。
また身に付いた力・スキルとしては、多くの生徒が「主体性・積極性」「グローバルな視野」をあげました。自立という点では、「グローバル化がますます進むこれからの将来を自ら引っ張っていく、そんな大人になるのが私の今の目標」といった声もあり、生徒が自分自身で自らの人生を考えはじめているようでした。

プログラムへの参加前には漠然としていた「自分に足りないもの」や「何をすべきなのか」ということが明確になるという成果を得て、生徒たちはグローバル人材への第一歩を踏み出したのだと思います。

2015年の第2回プログラムの実施が決定!

 2015年3月末には、『第2回Global Challenge Program in NY』を実施します。前回よりブラッシュアップし、さらに充実したプログラムとなっています。中高生を対象としたグローバル人材の育成プログラムとして、ぜひご参加をご検討ください。

※プログラム内容や実際に作成した紙面などは以下のサイトをご覧ください。
http://www.core-net.net/gcp/
  また、実際のプログラムの様子の映像も以下のURLよりご覧いただけます。
http://www.core-net.net/gcp2014/05/lastyear.html

[レポート:コアネット教育総合研究所 情野吉彦]
2014年9月

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